十勝平野を見晴らす丘にそびえる「池田ワイン城」は、豪雪と太陽の季節を超えて葡萄を実らせる北国の奇跡。地下深くで眠るヴィンテージワインから、屋上の大パノラマ、親子で楽しむ無料ツアーや限定グルメまで――五感で“味わい尽くす”体験型ワイナリーです。池田ワイン城の歴史・見学・イベント・過ごし方のすべてを徹底ガイドします。(画像協力:池田町ブドウ・ブドウ酒研究所)
ワイン城誕生と再生の秘話
十勝沖地震が生んだ逆転の一手
1952年の十勝沖地震と続く冷害で疲弊した池田町。当時、丸谷金保町長は山ブドウに活路を見出し、未利用斜面をブドウ畑へと変えました。気温が‐20℃に達する厳冬を耐えるため独自の品種改良を推進し、町ぐるみで挑んだ“再生プロジェクト”が始まります。
自治体ワイン第一号「十勝」誕生
1963年、町営ワイナリー「池田町ブドウ・ブドウ酒研究所」で初仕込みが成功。自治体が造る日本初の公式ワイン「十勝ワイン」は、酸味を生かした辛口タイプとして一躍全国へ。1974年、中世欧州の古城を模した現在のワイン城が完成し、町のシンボルとなりました。
五感で巡る館内体験完全ガイド
地下熟成室で聴くワインの鼓動
地下2階はフレンチオーク樽が並ぶ熟成空間。温度10℃・湿度70%前後に保たれ、ワインが静かに呼吸を続けています。2024年に新設された全長8mの大樽屋根付きバーでは、樽香を浴びながら限定ヴィンテージをグラスで味わえます。
ブランデー蒸留室で香り旅
1階の蒸留室ではコニャック式単式蒸留器が稼働。昭和39年から続くブランデー造りを、ガラス越しに見学できます。芳醇なアロマが漂い、樽貯蔵中の琥珀色がライトに映える光景はフォトジェニックそのもの。
展望広場で360度十勝平野
屋上展望広場に上がれば、日高山脈の稜線から利別川の蛇行、パッチワークのような畑まで一望。空と大地を切り取るような眺めは「天空のワイナリー」の名にふさわしい開放感です。
家族で遊ぶブドウの城まるごと
有料試飲で親は悦、子はジュース
1階テイスティングカウンターでは、赤・白・スパークリング各種を3杯1,000円から試飲可能。チーズやベーコンのマリアージュ付きで、ドライバーや未成年には濃厚ブドウジュースを用意。家族全員が“自分の一杯”を持って乾杯できます。
レストラン&お子さまセット
4階レストランでは池田和牛のステーキや、自社ワインを使ったボロネーゼが人気。キッズプレートやハンバーグも充実し、窓際席からは十勝平野の絶景を眺めながら食事が楽しめます。
ブドウ展示園で学ぶ生命
南側斜面の展示園には池田独自品種「山幸」「清舞」などが整列。秋の収穫期には甘い香りが漂い、無料のスタッフ解説ツアーで品種の違いを学べます。ブドウ畑と石造りの城が重なる風景は、物語の入り口のよう。
イベント&ツアー最新情報
週末ワイナリーツアー徹底解剖
土日祝は定員10名の有料ツアー(2,000円)。製造棟・熟成室・蒸留室を45分でめぐり、その後30分の本格テイスティングへ。平日は予約不要の無料ミニツアーもあり、短時間で要点を押さえられます。2025年4月から開始時刻が11:15/13:30に変更されたのでご注意を。
秋のワイン祭りと冬の氷灯
10月上旬開催「池田町秋のワイン祭り」は限定2,000名の“飲み放題”イベント。樽から注ぐ新酒と羊の丸焼きに全国からファンが集合します。冬はアイスキャンドルナイトが城壁を照らし、幻想的な雪のワイン城が出現。
GWはスパークリング解体ショー
ゴールデンウィーク期間は、澱引き体験や吹奏楽演奏会など家族向けプログラムが目白押し。製造スタッフ直伝の“泡”講座で、キッズも大人も学びながら楽しめます。
池田ワイン城の旅の魅力
池田ワイン城は、地震からの復興を遂げた町の“逆転劇”を今に伝える文化遺産であり、親子三世代が遊んで学べる体験型テーマパークでもあります。地下で眠るヴィンテージから屋上の絶景まで、高低差と時間を跨ぐ物語を一日で巡る――そんな贅沢を味わえるのは世界でここだけ。十勝に暮らす人も旅人も、次の休日はワイン城で“葡萄浪漫”に浸ってみませんか。
【Information】
住所:〒083-0002 北海道中川郡池田町清見83-4
電話:015-578-7850
営業時間:9:00〜17:00(レストランは要確認)
定休日:年末年始(12/28〜1/2)
駐車場:100台(無料)
アクセス:JR池田駅から徒歩10分/道東道池田ICから車15分
メール:info@ikeda-wj.org
HP:https://ikeda-wj.org/
オンラインストア:https://shop.ikeda-wj.org/
SNS:X・Instagram・Facebook公式あり
※本記事は2025年5月時点の公式情報を参照しています。最新の営業日・ツアー内容は公式サイトでご確認ください。