農業王国の十勝・帯広地域は、食料自給率が約1350%(カロリーベース)という驚異的な数字を誇ります。食材のバラエティも豊かで地域独自のソウルフードが多数存在し、グルメ愛好家からの注目を集めているエリアでもあります。今回は、そんな十勝・帯広地域の「ソウルフード」ともいえる5つの代表的な食べ物とお店をご紹介します。
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十勝の食材と愛情がたっぷり溶け込んだ「インデアンカレー」
十勝・帯広のご当地カレーを地元の方々に問えば、間違いなく「インデアンカレー」という回答が返ってくるはず。1968年の創業以来、十勝産の食材とスパイスをふんだんに使用した滋味あふれるカレーを提供し続けてきました。
「帯広で2番目に美味しい店」というユニークなコンセプトは、オーナーのお母様と奥様の料理が一番美味しいから、という理由から来ているそう。ご家族に対する愛情の深さを感じるエピソードです。
インデアンカレーのルーは、「インデアンルー」「ベーシックルー」「野菜ルー」の3種類があります。通い慣れた人は、基本のルーにトッピングを掛け合わせて自分だけのオリジナルカレーを楽しみます。インデアンカレーは早くからテイクアウトを行っており、地元民は自宅から鍋や容器を持参して持ち帰り、自宅で炊いたお米にかけて食べるのが定番となっています。会合などでも利用されるほど、地域に溶け込んだお店です。
写真で見ただけでも、さまざまな具材が溶け込んでいることがわかるまったりとした質感のルー。ちなみに、店名は「インディアン」ではなく「インデアン」ですのでお間違いなく!
【INFORMATION】
- インデアンカレー(まちなか店)
- 住所:北海道帯広市西2条南10丁目1-1
- 電話番号:0155-20-1818
- 営業時間:11:00~21:00
- 定休日:木曜日(祝日の場合は翌日)及び12月31日・1月1日
- 席数:34席
- 駐車場:あり/数台
- 公式HP
全国的にも珍しい「チーズおやき」の「高橋まんじゅう屋」
こちらも帯広の地元民の食生活になくてはならない一品です。1954年創業の「高橋まんじゅう屋」(通称たかまん)の名物であり、甘いあんこととろけるチーズの組み合わせが絶妙な「チーズおやき」は、全国的にも珍しいチーズ入りの大判焼き。
十勝産小豆を使用したあんこと塩味のとろけるチーズのマッチングは、一度食べれば虜になること間違いなし。たかまんの前には、連日チーズおやきや肉まん、むしパンを求める地元の方々が列をつくります。
実はこのチーズおやき、35年ほど前に牛乳の大量廃棄を憂いた二代目・高橋修氏によって開発されたもの。当時牛乳の生産量が計画を上回り、廃棄となることが社会問題になっていたそうです。それを見かねた二代目が、「十勝のためになる商品を」とチーズを大判焼きに入れたのが、チーズおやきの始まりでした。甘さとしょっぱさの組み合わせは多くの人を虜にし、発売当時からヒット商品となったそうです。
現在のSDGsやサステナビリティの理念に通じる名物おやき。旅のお供にぜひ味わってみてください。
【information】
- 高橋まんじゅう屋
- 住所:北海道帯広市東一条南5-19-4
- 電話番号:0155-23-1421
- 定休日:水曜日と第二第三火曜日
- 駐車場:あり
全国区となった「豚丼」の先駆け「ぱんちょう」
帯広の食文化の代名詞とも言える食べ物が、近年ご当地グルメなどで注目を集めた「豚丼」です。豚丼が誕生したのは、今から遡ること90年前。十勝の養豚は、「十勝開拓の祖」といわれる依田勉三率いる「晩成社」が、1884年に豚4頭を連れて入植したのが始まりといわれています。そして、豚丼が生まれたのはその50年後の1933年のことでした。
当時は、食材や使える調理機器が制限されており調理法も限定されていたことから、飲食店で手の込んだ料理を提供することが難しかった時代。焼いてタレを絡めるだけという簡単な調理法で作れる豚丼は、瞬く間に飲食店の主力メニューとなりました。
また、開拓者にスタミナのつく料理を提供したいと考えた飲食店が、高価なうなぎの代わりに豚を使用したことが発祥という説も。醤油ベースの甘辛い味付けは、うなぎの蒲焼がヒントになっているといわれています。
その豚丼の代表格が、帯広の「元祖 豚丼のぱんちょう」。豚丼発祥の店で、90年続く老舗です。極上のロースを炭で丁寧に焼き上げ、秘伝のタレを絡めたまさに王道の豚丼。彩りを添えるグリーンピースが載っているのも、同店の豚丼の特徴です。
創業時の女将「梅」さんの名にちなんで、松竹梅のランクが逆にされているのもユニーク。帯広駅前にありアクセスしやすいことから、平日には地元の会社員、休日には多くの観光客が行列をつくる人気店です。
【information】
- 元祖 豚丼のぱんちょう
- 住所:北海道帯広市西1条南11丁目11-19
- 電話番号:0155-22-1974
- 営業時間:11:00~19:00
- 定休日:月曜日、第一第三火曜日(祝日の場合営業、翌日休)
- 席数:34席
- 駐車場:なし
「ザンギ」といえばこの一品。「鳥せい」の唐揚げ
北海道のソウルフードとして豚丼と肩を並べるのが、鶏肉の唐揚げ「ザンギ」です。小樽の「なるとや」も有名ですが、今回ご紹介するのは道内で20店舗、帯広で5店舗を展開する「若どりの鳥せい」。
鳥せいが使用する鶏肉は、中札内村(なかさつないむら)の契約農場で飼育されている若鶏です。漢方を処方した飼料で育てられており、臭みや脂身が少なく、コクがある肉質が特徴です。この鶏肉を衣で包んで揚げれば、肉汁あふれるジューシーさとさっぱり感が両立した絶品の唐揚げに。一人で何個でも食べられそうな美味しさです。
鳥せいの唐揚げは、十勝に住む人々の晩ごはんのおかずとして、晩酌のつまみとして、またクリスマスのごちそうとして年に何度も食卓に並びます。十勝の日常の風景に自然に溶け込んでいる、まさにソウルフードと言えるでしょう。
【information】
- 鳥せい(帯広大通店)
- 住所:北海道帯広市大通南19丁目-5
- 電話番号:0155-22-8989
- 営業時間:16:00~23:00
- 定休日:水曜日(祝祭日の場合は営業)
- 席数:30席
- 駐車場:あり
- 公式HP
帯広市民が誇るジンギスカン「平和園」
帯広に住む人々の心をつかんで離さないのが、1959年創業の“焼肉スタイルのジンギスカンのパイオニア”、「平和園」です。その独自のスタイルは、ジンギスカンの新たな可能性を切り開く取り組みを進めている企業と評価され、2011年に実施された「第1回ジンギスカン普及賞」に輝きました。
平和園が熱く支持される理由は大きく二つ。一つは肉へのこだわりです。北海道畜産公社十勝工場 十勝総合食肉流通センターと提携し、新鮮かつ安全性の高い肉を提供。肉は一枚いちまい手切りしており、味付けは注文ごとに調合する「一丁付け」で肉本来の旨味を最大限に引き出しています。
二つ目は、その価格の安さ。「ジンギスカン」は495円(税込)、「上ジンギスカン」は572円(税込)、ジンギスカンにサラダ・ライス・味噌汁・漬物がついた「ジンギスカン定食」が825円(税込)で楽しめるなど、そのコストパフォーマンスの良さには誰もが驚くはずです。焼肉愛好家やジンギスカンのファンならば、一度は訪れたい名店です。
【information】
- 焼肉 平和園 本店
- 住所:帯広市大通り南12丁目-1
- 電話:0155-22-6151
- 営業時間:11:00~23:00
- 定休日:木曜日(定休日が祝祭日の場合は営業)※12/31.1/1休業
- 駐車場:あり
- 公式HP
農業・食材王国 十勝の魅力を存分に味わえるソウルフード。ぜひ実食を!
今回ご紹介した5つの食べ物とお店は、帯広市民が「十勝の誇り」と胸を張る、歴史ある名店ばかりです。これらを味わうことで、十勝・帯広の魅力をより深く知ることができるでしょう。帯広に訪れた際にはぜひ、カレー、おやき、豚丼、唐揚げ、ジンギスカンといったソウルフードを堪能してみてくださいね。
※店舗情報、メニュー、価格などは変更される可能性があります。