熱気球でめぐる空の旅──北海道・十勝の朝の絶景を写真で体感

北海道・十勝で、空を旅してみませんか?澄みきった早朝の空気のなか、熱気球でふわりと空へ。眼下に広がるのは、どこまでも続く大地。行く先には青く澄んだ空が広がり、地平線の丸みに地球の広ささえ感じられます。

旅ライターとして実際に体験した、“人生初の熱気球フライト”の興奮と感動を、写真とともにあなたへお届けします。

北海道・十勝で体験できる熱気球の旅とは?

熱気球といえばイベントやお祭りなどで見られる、ロープで地上に固定された「係留式(けいりゅうしき)」を思い浮かべるかもしれません。

たしかに数分間・数十メートル、地上を離れるだけでも熱気球ならではの「空に浮かぶ感覚」は味わえるでしょう。けれども北海道・十勝で体験できるのは、ロープから解き放たれ、空高く舞い上がる「フリーフライト」。地上とのつながりを手放し、風に身をまかせて進む、まさに“空を旅する”感覚です。

熱気球に乗り込み、ゆっくりと数百メートル上空へ。眼下には、どこまでも続く平野や田園風景が広がり、まるで絵画の中へ飛び込んだような美しさに、思わず息をのみます。

気球が向かう先には、地平線と空が溶け合う幻想的な光景が。その美しさは言葉では言い表せないほどです。気づけば、ただ静かに、目の前の世界に見入っている。そんな体験が、十勝にはあります。

十勝地方で見られる景色の特徴を紹介

北海道・十勝地方を象徴する風景といえば、どこまでも続く広大な農地。畑は整然と区画され、道路は真っすぐに伸び、まるで巨大なパッチワーク模様のように広がっています。

 

澄みきった空気も十勝の特色の一つです。スモックや黄砂による大気汚染がほとんどなく、遠くの景色までクリアに見渡せます。

熱気球がフライトする早朝には朝霧が立ち込めることも。やわらかな朝日が霧に差し込み、風景全体を幻想的に包み込みます。その眺めの壮大さは、カッパドキアか十勝かといったところ。思わず写真に収めたくなることでしょう。シャッターを切る指が止まらなくなるかもしれませんよ。

十勝空旅団の熱気球を体験してみた

北海道・十勝には、熱気球体験を提供している団体がいくつかあります。その中でも、地元に根ざした活動をしている「十勝空旅団(とかちそらたびだん)」の熱気球体験に参加してきました。

十勝の風や地形を熟知した地元スタッフが運営しており、初めての方でも安心して参加できるよう、丁寧なサポートも用意されています。言語の壁の心配もいりません。翻訳アプリや簡単な英語、ジェスチャーなどで意思疎通を図れます。実際に外国人も参加されているそうなので安心してください。

ここからは搭乗から着陸まで、旅ライターのリアルな視点で熱気球体験の流れを紹介します。

熱気球と対面──静けさの中、空の旅が始まる

眠い目をこすりながら、朝4時30分に集合場所の運動公園へ。
※集合場所・時間は天候や風向きにより変わります。

まずは小さな風船を上空へ飛ばして、その日の風向きをチェック。

風船のゆくえを見つめるのは、私を空の旅へといざなってくれるパイロットの篠田さん。乗客の命を預かるそのまなざしには、覚悟と責任感がにじんでいて、自然と安心感がわいてきます。

早速、私たちが乗るゴンドラがバンから運び出され……。

続いて、色とりどりの風船が登場。

送風機で空気を送り込んだあと、バーナーで温めると風船は少しずつ膨らんでいきます。

十分に膨らんだら、スリッパに履き替えて風船の内部へ。なかに入れるのはこのタイミング限りの特別体験。カラフルな生地に囲まれた鮮やかな空間は、絶好の“映え”スポットです。

この日の乗客は私のほかにご夫婦が一組。お話をうかがうと、奥様のお誕生日記念で、昨年に続いて2回目の熱気球体験なのだそうです。一度乗って以来、その魅力にすっかり惹きこまれてしまったのだとか。

奥様をお姫様抱っこして、カラフルな風船を背景に記念撮影。幸せそうな二人の姿に、こちらまで思わず笑顔になります。

ちなみに、ご主人は高所恐怖症とのこと。それでも奥様の「もう一度熱気球に乗りたい」という願いを叶えるため、勇気を出して2回目の搭乗を決意されたそうで、なんとも優しいご主人です。

離陸──胸の鼓動が高鳴る、空への第一歩

撮影タイムを終えると、横たわる熱気球を立ち上げていきます。

熱気球が立ち上がりきると、浮かび上がる準備は万端。少し急いでゴンドラに乗り込み、いざ出発。

気がつけば、足元からふわりと地面が遠のいていく。運動公園の敷地に映る熱気球の影がなんともフォトジェニックです。

ゆっくりと空へ浮かび上がっていく感覚は、まるでエレベーターでビルの最上階を目指すかのよう。足元から少しずつ景色が遠ざかり、見送ってくれる地上スタッフの姿が、次第に小さくなっていくのを静かに見つめていました。

空の旅──静けさのなか広がる圧巻のパノラマ

ふわりと浮かび上がった熱気球の上から見えたのは、まるで絵画のような世界。午前5時、霧に包まれた十勝平野が、静かに私たちを迎えてくれます。

霧が晴れ、視界が開けると十勝平野から日高山脈までを一望できるパノラマビューが広がります。遠くの稜線までくっきりと浮かび上がるその風景の美しさに、思わず息をのむ私。

眼下に広がるさわやかな田園風景も十勝ならでは。整然と区画された農地、まっすぐ伸びる道路。その風景は「パッチワーク」とも形容され、十勝の象徴ともいえる圧倒的な美しさを誇っています。

十勝の澄んだ空気のもとでは、どこまでも街の輪郭がはっきりと見渡せます。

高い建物はほとんどなく、広がるのは穏やかな街並み。その落ち着いた眺めは、都会の喧騒に疲れた人にとって、心の癒しを与えてくれるでしょう。

不思議なことに飛行中は風をほとんど感じません。それもそのはず、熱気球は風と同じ速さで移動しているため、体に風を受ける感覚がないのです。

まるで空中に静止しているかのような感覚に包まれながら、気がつけばかなりの距離を移動していることも。この日も、風に乗って時速30kmほどのスピードが出ていたと聞き、驚かされました。

風の状況にもよりますが、熱気球の飛行高度は通常数百メートル、条件次第では800mに達することもあるそうです。

一緒に搭乗したご夫婦は空の上でも仲睦まじく、おしゃべりをしながら景色を楽しんでいます。高所恐怖症のご主人は「下を見るのは少し怖いけれど、遠くの景色を眺めるのは大丈夫」と、笑いながら話してくれました。

熱気球は急上昇・急降下もなく絶叫マシンのような強い刺激とは無縁。高い場所が苦手な人でも、安心して空の旅を楽しめます。

地上を見わたす贅沢──低空飛行の魅力

空高く舞い上がるだけが、熱気球の魅力ではありません。地上からの記念撮影のため、熱気球はゆっくりと高度を下げ、低空飛行を楽しむ時間も設けられました。

手を伸ばせば届きそうな高さから見下ろす街並みは、まるで精巧に作られたミニチュア模型のよう。人や家畜の姿まではっきり見え、鳥のさえずりや野生動物の鳴き声も耳に届きます。

高度の変化によって、何度でも景色を新鮮に楽しめるのも、フリーフライトの魅力です。

高度のコントロールは、熱気球の構造とパイロットの技術によって実現されています。バーナーの炎で温められた空気は、球体の上部に溜まります。

風船の部分には「リップパネル」と呼ばれる“ふた”のような開閉部があり、この開閉操作によって熱気球の上昇・下降を調整しているそうです。

上昇したいときはリップパネルを閉じたまま熱を加え、下降するときには開いて熱を逃がします。横方向の移動は、異なる風の向きを読み取り機体を巧みに上下させるパイロットの腕が頼りです。

風がなければ進めない。しかし高度を変えれば、再び風を“捕まえられる”。熱気球での空の旅は“自然と対話しながら進む旅”であるのだと知りました。

再び地上へ帰るとき──着陸と余韻の時間

午前6時に迫るころ、再び高度を上げ、空の旅のゴール地点である河川敷を目指します。

十勝には大きな川がいくつも流れており、風向きやスピードに応じて、その日の着陸地点を柔軟に選べます。こうした地理的な特色が「十勝は熱気球のフライトに適している」といわれる理由のひとつです。

いよいよ着陸の瞬間。河川敷ではスタッフが温かく出迎えてくれます。

パイロットの巧みな操縦によって、熱気球はゆっくりと地上へと舞い戻ります。着地の衝撃はほとんどなく、ふわりと優しく地面に降り立つような感覚でした。

着陸後はバーナーやゴンドラ、風船の撤収作業が始まります。スタッフだけでなく乗客も協力して、大きな熱気球を片付ける時間です。

「飛ぶ」だけにとどまらず「撤収」までがプログラムになった熱気球体験には、スタッフと乗客の垣根を超えてチームになれるような一体感を味わえました。

撤収作業が終わると、乗客たちは大型のバンに乗って、離陸地点へと戻ります。窓の外にはつい先ほどまで、空の上から眺めていた田園風景がエンドロールのようにゆっくりと流れていきます。

空から、そして地上から、十勝の風景はどこから見ても心に残る美しさでした。

熱気球体験──モデルスケジュール

北海道・十勝では、365日いつでも本格的な熱気球体験が楽しめます。

ここでは「十勝空旅団」のフリーフライトに参加する際のモデルスケジュールを紹介します。フライトは早朝に行われるため、前日の宿泊が必須です。

【夏季(5月〜10月頃)のスケジュール例】

時間帯内容
3:30宿泊先までスタッフが送迎
(帯広駅周辺は無料、十勝川温泉街は一部対応あり)
4:00離陸地点に到着、フライト準備
5:00熱気球で離陸!朝の空を舞うフライト
(所要時間:約30〜60分)
6:30着陸・回収
8:00宿泊先へ到着・解散

※冬季(11月〜4月頃)は、上記より約2時間遅れてスタートするとのこと。

集合場所へ向かう方法は2通り。

① 宿泊先への送迎
帯広駅周辺または十勝川温泉街のホテルに前泊すると、スタッフが早朝に迎えにきてくれます。帯広駅エリアは無料送迎の対象です。一方、十勝川温泉の送迎は、ガソリン代としてひとり500円前後の追加料金が発生します。
② レンタカーで直接現地集合
前日までに届く案内メールに従って、自分で集合場所まで向かうことも可能です。宿泊先の選択肢が広がるため、旅程を自由に組み立てたい方におすすめです。ただし集合は早朝となるため、帯広市内に宿泊しておくと安心でしょう。

参加前に知っておきたい実用情報まとめ

熱気球体験を楽しむために、事前にチェックしておきたい情報をまとめました。料金や当日の服装、予約方法などをわかりやすく解説します。

1. 料金・支払い・キャンセルについて

「十勝空旅団」による熱気球体験の料金は以下のとおりです。

フリーフライト
(約30〜60分)
33,000円(税込)/1名
支払い方法現地決済
(クレジットカード・QR決済対応)
現金払い特典500円割引
(※公式サイトから直接申し込みの場合)
キャンセル料2日前:50%
前日以降:100%

2. 当日の服装

当日の服装についてのポイントを紹介します。

【夏季(5月〜10月頃)】

  • 上空と地上の気温差は大きくありません。動きやすい服装であればOKです。
  • バーナーの熱によってスス混じりの水滴が落ちることがあるため、汚れてもよい服がおすすめです。
  • 半ズボンはケガ防止のため避けてください。

【冬季(11月〜4月頃)】

  • 十勝の冬はマイナス20℃以下になる日も。十分な防寒対策が必要です。
  • 防寒用つなぎ・ネックウォーマーなど、防寒具は無料で貸し出してもらえます。
  • ご自身でも保温下着や重ね着など、防寒対策をしてからの参加がおすすめです。

3. その他の注意事項

その他、押さえておくべき注意事項を以下にまとめます。

  • 熱気球のフライトは年中実施されていますが、天候・風の状況により中止になることがあります。
  • フライトが中止になる際は前日までにメールで連絡があります。この場合、料金はかかりません。
  • カメラやスマートフォンの持ち込みは可能ですが、落下防止のためストラップ付きのものしか持ち込めません。ストラップは200円(税込)で現地購入も可能です。
  • ゴンドラ内はスペースに限りがあるため、手荷物の持ち込みはできません。フライト中はスタッフが手荷物を預かってくれます。
  • 参加対象は6歳以上で、15歳未満の子どもは保護者同伴で乗船する必要があります。
  • 妊娠中、または妊娠の可能性がある方は参加できません。

4. 予約方法(韓国語対応)

「十勝空旅団」の公式サイトは、英語・韓国語・中国語に対応しています。韓国語でのご予約は、以下のリンクから専用ページへアクセスし、フォームよりお申し込みください。

https://tokachisoratabidan.jimdofree.com/korean/

息をのむ絶景。また会いたくなる空旅

静けさに包まれた早朝、十勝の大地を離れ、熱気球はゆっくりと空へ舞い上がっていきます。空から見下ろす広大な景色はまるで別世界。写真では伝えきれないほどの感動が、そこにはありました。

韓国・清州から飛行機でわずか約2時間半。思い立ったらすぐに訪れられる、非日常の時間が待っています。どこまでも続く雄大な眺めに心を奪われ、気づけば、次のフライトを想像している自分がいる。この美しい風景を、次はあなたの目で確かめてみてください。

【Information│お問い合わせ】

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