今回は北海道観光の定番観光スポットの中でも特異な魅力を放つ場所、「然別湖(しかりべつこ)」をご紹介します。湖の底に線路が沈む幻想的な風景は、ジブリ映画『千と千尋の神隠し』のワンシーンを彷彿させると話題で、訪れた人々を魅了しています。アクセスは札幌から車で約210キロ、新千歳空港からは約3時間(約200キロ)と、まさに「秘境」と呼ぶにふさわしい場所。帯広駅からなら、車で約1時間半ほどでアクセスできます。十勝を訪れたなら、ぜひ足を伸ばしたいスポットです。
四季折々の風景を映し出すエメラルドグリーンの湖面
北海道十勝地方に位置する然別湖は、約3万年前の噴火で川がせき止められたことによってできた堰止湖(せきとめこ)です。
湖の周囲はトドマツ、エゾマツ、ダケカンバなどからなる原生林が取り囲み、太古の自然を今に伝えるロマンあふれる場所でもあります。周囲は13km、最深部は約100メートル。標高は810メートルと湖としては道内で最も標高が高いため、「天空の湖」というロマンチックな別名がついています。
湖の東側にある天望山(てんぼうざん)は、2つの頂きがあるそのシルエットと湖面に映る姿から「唇山」(くちびるやま)とも呼ばれ、然別湖のシンボルとされています。
また、然別湖周辺の森や林には、氷河期から生息していると言われる「ナキウサギ」をはじめ、ミサゴやオジロワシ、クマゲラ、アオサギなどの貴重な野生動物たちが生息しています。これらは、然別湖が手つかずの自然を残す貴重な場所である証拠。湖畔の周辺を散策すると、こうした野生動物たちの貴重な姿を見かけることができるかもしれません。
透明度の高い水中に沈む「然別湖湖底線路」
さらに特筆すべきは、国内トップクラスともいわれる湖の透明度。湖畔からも遠くの湖底を見通すことができ、春には新緑、夏には深い緑、秋には美しい紅葉が湖面に映り、冬には雪景色が広がります。
そして、訪れた多くの人々がSNSで発信するのが、湖の底に沈む「然別湖湖底線路」。湖畔から一筋の線路が湖底に向かって伸びている幻想的な風景は、『千と千尋の神隠し』のワンシーンによく似ていると大きな話題を読んでいます。
実はこのレール、冬季に湖が凍結する前に、遊覧船を陸に引き上げるために使用されているものなのです。それを知っても、線路の先が湖底の神殿や沈んだ都へと続いているかのようで、見れば想像力をかきたてられる風景であることは間違いありません。
季節ごとに楽しめるさまざまなアクティビティ
「然別湖湖底線路」を目当てに然別湖に行くのなら、湖面が氷結する冬季は避けて遊覧船が運行している5月下旬〜10月下旬が最適です。ボートやカヌーを使用した水上アクティビティでは、船上から湖底まで鮮明に見える美しい景色を堪能できます。特にカヌーで湖に漕ぎ出せば、周囲の山々や野生動物との出会いなど、雄大な自然との一体感を感じることができるでしょう。
また、地元の人々がおすすめするのが然別湖の星空です。満天の星空が湖面に映り、無数の光が輝く様子は「星の棲む湖」とも呼ばれているそう。「然別湖ネイチャーセンター」では、自然の真っ暗闇の中をネイチャーガイドとともに散策する「ナイトウォッチング」体験を実施しています。
そしてもちろん、冬季ならではの楽しみ方も。湖が氷結すると、湖上には60日間限定のアイスビレッジ「しかりべつ湖コタン」が現れます。「コタン」とはアイヌ語で「村」を意味する言葉で、建物はすべて然別湖の氷と雪で造られています。
脱衣所も氷で造られた「氷上露天風呂」や氷のグラスで飲み物を味わう「アイスバー」、実際に挙式を執り行うことができる「アイスチャペル」など、見どころも楽しみも満載です。
一年を通してさまざまな楽しみ方ができる然別湖に、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
【information】
然別湖 湖底線路 | 北海道河東郡鹿追町北瓜幕白雲橋(白雲山登山口) |
然別湖ネイチャーセンター ★公式ホームページ | 北海道河東郡鹿追町北瓜幕無番地 |
然別湖コタン ★公式ホームページ 開催期間:1月下旬~3月下旬 | 北海道河東郡鹿追町北瓜幕無番地 |
※開催期間などが変更する場合がございますので、事前に情報をご確認ください。